私たちはだれも、生まれながらにして文字が読めるわけではありません。
あなたがもし、子どもが文字の読み方を覚えるのはごく自然のことと考えているとすれば、考え直す必要があります。
言葉の学習は、お子さんがあなたの膝に抱かれて、はじめてお話を読んでもらうときから始まります。生後5年間に、そうした読み聞かせの機会がどれだけあるかが、お子さんの、後の知能の発達に大きく関わってきます。
ある著名な研究によれば、言葉(音の言葉と、読み書く言葉)に接する機会が豊富な環境を子どもに与えている家庭と、そうした環境を与えていない家庭では、子どもが耳にする言葉の数(語彙数と頻度)について、その子が幼稚園に上がるまでに早くも3200万語もの大きな格差が生じる、と確認されているそうです。
つまり、たくさんの言葉を耳にし、進んで本を読み、文章を理解・分類して、幼い脳にしっかり刻んで幼稚園や小学校へ入る子どもは、それからの教育面で間違いなく有利な立場に立てるようになります。
この事実は、次の調査データが証明しています。
小学生を対象に、知っている言葉の数(語彙)と成績との関係を調べたところ、 1年生の段階で、成績上位の子どもの語彙は約7000語だったのに対して、成績下位の子どもでは約2000語で、3倍以上の差があることが判明しました。
そして、6年生でも、全体的に語彙は増えているが、成績上位者と下位者とでは、やはり語彙に3倍以上の差がある、
という結果が出たそうです。
また、ある小学校の先生が、保護者会でこんな話をしています。
「子どもたちは4年生を境に、授業についてこられる生徒とそうでない生徒にはっきり分かれる。その原因は、幼児期から、文章を読んで理解する力が育っているかどうかで決まります」。
これは単に国語だけではなく、他のすべての教科についても言える、とのことです。

幼児期(1歳から小学校就学時まで)には、「読み聞かせ」がなによりも大切です。ぜひ読み聞かせから始めてください。
読み聞かせるときは、文字を指差して、お子さんにも目で文字を追わせながら一緒に読みましょう。
読み聞かせで一緒に文字を読んでいくことで、知らず知らずのうちに文章を読み、理解する力が育ちます。
初めは、魅力的で楽しい絵が描かれた童話や昔話のような、短い物語がいいでしょう。
読み聞かせてあげるときは、「面白いお話ね」などとお子さんとお話をしながら、親子で1冊の本に向き合って、一緒に感動する時間を持てることが、お子さんにとってはいつまでも忘れることのない、大切な思い出となることでしょう。
こうした読み聞かせを通して、物語や文章を丸暗記しているうちに、無理することなく文字が読めるようになったお子さんは、自ら進んで本を読み始めます。
幼児期における読書は、お子さんの集中力、理解力、思考力、表現力を培うばかりでなく、他の人を思いやる、優しい心も育てます。
石井式漢字教育は、“最も大切な幼児期”のための「言葉の教育」です。
幼児期は、どの子どもにとっても例外無く、一生で暗記能力の最も高い時期であるばかりでなく、大脳が飛躍的に発達し、言葉を最もたやすく吸収できる時期でもあります。
この事実からも、石井式の言葉の教育は、まさに幼児期における「適時教育」と言えます。
そして、石井式漢字教育の学習は、読書の好きな、自分で考える力を持つ子どもを育むことになります。

安倍内閣の「教育再生実行会議」は、外部有識者による、「米国、英国での研究によると、幼児期に質の高い幼児教育を受けた場合、その後の小学校における学力や自己統制力(集中力)、学校卒業後の人生における社会的活動にもたらす効果が大きいとの結果が出ている」などの意見に基づき、「義務教育の早期化」を提言しています。
この提言を受けて文部科学省は、「幼児期に基礎学力を身に付けさせる」ことを目的として、「5歳児から教育無償化・義務教育化」するとの方針を固めています。
この方針の“狙い”は、「各幼稚園・保育園ごとにバラバラになっている教育内容を一定化させ、幼児教育の質を向上させる」ことにあります。
上述した文部科学省の今回の方針は、本の読み、内容をよく理解するための基礎になる、「漢字力の習得」を目的とする“石井式漢字教育の学習”(人の一生で最も機械的記名能力、つまり丸暗記能力の高い満3歳前後までに始めるのが最適)と、理念・考え方のうえで完全に一致する、と言えるのではないでしょうか。